夫婦のきずなとED治療

最近はテレビのコマーシャルでもEDの文字が流れるようになりました。「Erectile Dysfunction」という英語の頭文字をとったものでイーディーとそのまま発音します。それぞれの単語を英和辞典で調べると、直立したという意味の「erect」の派生語と、機能の不良を表す「dysfunction」という単語からなっていて、直立するという機能が不良であることと訳せます。お医者さんはカルテを書くときに、ドイツ語を使うと聞いたことがありますが、ドイツ語のインポテンツよりも、「ED」のほうがなんとなく遠回しな表現で、耳触りも良く感じるのは私だけでしょうか。
機能が不良であるという意味は広く、EDには勃起しないという状態だけでなく、勃起するものの性行為のあいだ持続できないなどの症状も含まれます。性行為は「夫婦の営み」ともいわれ、夫婦の関係において単なる快楽という枠以上の意味をもつため、「できない」のであれば、あきらめればいいなどと簡単にいうことはできません。ある調査によると、調査対象の約9割の夫婦が、夫婦が心を通じ合うために性行為は重要だと答えました。同じ調査では、夫のEDを悩んでいる妻の3割強が、本当に離婚しようと考えたことがあり、そのうち6割以上が、夫婦の性生活に満足していないためだと答えました。男性からすると身のすくむ調査結果ですが、同時に妻の約8割が「夫の治療を支えたい」と答えており、それにはほっとさせられます。
夫の立場からすると「営めない」状況は、自分の行うべき仕事を果たせないという無力感や気恥ずかしさが先に立ち、他人はもちろん、パートナーである妻にもなかなか相談できないものです。しかし専門医は、誤解や偏見にとらわれず、他の病気と同じ様に治療のために病院に行き、家族には協力を仰ぐようにとアドバイスしています。最近、増えているED関連のコマーシャルは、男としての自信回復というだけの問題ではなく、家族や夫婦のきずなを守るためのED治療が、社会から認められてきていることの証拠なのかもしれません。